日生薬局メディア
コラム
2021 04.20

【薬剤師コラム】処方のアレルギー薬に加えて市販のアレルギー薬も服用!?

こんにちは、日生薬局です。 しばらく間が空いてしまいましたが、薬剤師のファインプレー事例集第4回の掲載になります。 今回は春先に多いアレルギーについてのお話です。 いつものようにプライバシー保護のため地名や固有名詞等を一部改変しつつ、事例をご紹介します。   □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 店舗:神奈川県Y市 日生薬局M店 患者背景:80代 女性 独居 一包化しているが本人では薬の管理難しく週3回息子さんが自宅訪問し管理している。   事例: 「鼻づまりのため処方されている抗ヒスタミン剤を服用しているが効き目を感じないため、自分で市販薬を買って服用するようにしている。だが飲み忘れることも多く、購入するのも負担になるので、処方薬でなにか替わりになる薬はないか。」という連絡を患者様ご本人から頂く。 購入している薬の商品名から成分を調べ、処方薬で代替できないか検討した。 その結果、現在処方されている抗ヒスタミン剤の成分に鼻粘膜の充血や腫脹を軽減する成分を加えた合剤への切り替えが有効と考えた。 しかしこの合剤は1錠が大きく飲み込めるか不安があるため、メーカーへ半錠可能か確認をした。 確認してみると徐放性の錠剤で半錠不可という回答だったため、嚥下に対する不安も含めてドクターへ情報提供を行った。 次回処方では合剤へ処方変更となっており、それを含めて一包化することでコンプライアンスが向上。 また嚥下に問題がないか確認のため、数日後に患者様へ電話してきちんと服用できているか聞いたところ、問題なく服用できているとの回答だった。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□   鼻づまりのため抗ヒスタミン剤を服用することは珍しいことではありません。 とくに春先には花粉症で服用される方もたくさんいますよね。(花粉症について【栄養士コラム】で特集しています。良ければご一読ください。)   しかし同時に、処方された薬を飲んでいるけど、あまり効果を感じない・・・という方も少なくないのではないでしょうか。 抗ヒスタミン剤はくしゃみや鼻水には効果が高いものの、粘膜の充血などによる鼻づまりにはあまり効果がないと言われています。 アレルギー薬を飲んでも症状が改善した実感を得られない方は、もしかしたら症状と有効成分が合っていないのかもしれません。 今回の患者様もそのような一人だったと考えられます。 処方されたアレルギー薬を飲んでも効果がないということでご自身で市販薬を購入していたわけですが、上記の事例にあるような問題点が出てきたため薬剤師に相談した、ということですね。   今回の事例の薬剤師の対応について、特筆すべきところがいくつかあります。 まずは市販薬の代替となる処方薬の検討についてです。   一口に市販のアレルギー薬といっても、様々な商品が販売されており、その有効成分も様々です。 商品数が膨大なためOTC医薬品の販売についてはドラッグストアの薬剤師でないと把握できない、と思われるかもしれませんが、市販のOTC医薬品は一部の例外を除いて元々処方箋医薬品として交付されてきたお薬です。 そのため成分表示さえ見れば薬局薬剤師であってもどんな効果効能の市販薬かはすぐにわかります。 直接商品を見なくても、メーカーのサイトに行けば商品ごとの成分を見ることができるので、商品名さえわかれば対応可能なのですね。 「今飲んでいる市販薬の代わりはない?」と聞かれたときに、しっかりと商品名をヒアリングして、成分を調べることで代替薬の検討をしたのは良い対応だったと思います。   また代替薬の候補を挙げてからの対応にも触れるべきでしょう。 患者様の希望にかなう薬の候補が浮かんだらすぐにドクターへ連絡したくなるところですが、錠剤の大きさに注目したのがポイントです。 患者様がご高齢のため嚥下機能の低下によって飲めない錠剤がある可能性があります。 そこまでしっかりと意識を巡らせられたのは、普段から処方箋を通じて様々な薬剤に関われる環境があるからでしょうし、半錠が可能かメーカーに確認しようと思うのも、日々の経験があってこそです。 結果として今回の代替候補薬は商品名に「徐放」の文字はないものの、徐放性剤のため半錠不可ということで、この確認はファインプレーであったと思います。   そして薬の管理ができない患者様のためにしっかりと一包化に含めて調剤し、服用できているかのアフターフォローまで行っており、相談を受けてから服用後まで一括して対応を行うことで、患者様の安心につながるような対応であったと思います。     さて今回の内容いかがでしたでしょうか。 アレルギー薬という身近な薬ではありますが、薬剤師として介入してみると着目すべきポイントはいくつもあります。 そういった視点を持つためにはやはり経験がなければならず、薬剤師としてしっかりとした経験を積める場というのは非常に貴重なのではないでしょうか。 日生薬局は総合病院門前に多く展開しており、日々の業務から様々な処方に触れる機会が豊富にあります。 薬剤師としていろいろな処方を経験して成長したい、という方はぜひインターンシップや会社説明会に参加してみてくださいね。   それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。 次回の更新をお待ちください。