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コラム
2021 06.03

【栄養士コラム】管理栄養士監修 Pharmacyコラム 血糖値編

こんにちは、日生薬局です。 定期的に連載してきました管理栄養士監修のPhaemacyコラム。4月号の記事掲載が遅くなって申し訳ありません。 4月から5月にかけて、管理栄養士を含めた新卒採用が活発になる時期のため、記事の執筆が滞ってしまいました・・・。   またこれから改めて掲載していきたいと思いますのでよろしくお願いします! ・・・と言いたいところですが、もう一つお詫びしなければいけないことがあります。 これまで毎月発行してきたPhaemacyコラムですが、今後は春夏秋冬の各季節号としての発行を基本とすることとなりました。 それに伴いこのコラム記事についても年4回の更新が基本になりますのでご了承下さい。     さて、それでは気を取り直して今回のテーマに触れていきたいと思います。 今回のテーマは「血糖値」です。 血糖値と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。 糖尿病?健康診断?食生活? おそらく思い浮かべることは人それぞれかと思いますが、今回は血糖値そのものについてお話ししていきたいと思います。   まず血糖値とはそもそもどのようなものなのでしょうか。 血糖値は血液中に含まれるグルコース(ブドウ糖)の濃度を示したものです。 食事から吸収されたグルコースは体内でエネルギー源として利用される重要な物質ですが、その濃度はインスリンやグルカゴン、アドレナリンなど複数のホルモンの働きによって調整されています。 複数のホルモンによって一定の範囲内で血中濃度が調整されているグルコースですが、その濃度が正常値を下回ったり、上回ったりしている状態を低血糖、高血糖と呼びます。   低血糖状態のときにはグルカゴンやアドレナリンなどの血糖値を上昇させるホルモンが多く分泌されて血糖値を正常に戻そうとしますが、これらのホルモンの作用によって様々な身体症状が現れます。 よく言われる症状としては大量の冷や汗や動悸、手の震え、暴力傾向などがあり、その他にも様々です。 低血糖がそのまま進行しグルコースの血中濃度が一定の数値を下回ると意識を失い、最悪の場合は死に至ります。 通常はそこまで血糖値が下がることはありませんが、疾患や薬剤の過量服用などによっては起こりえますので、血糖に関わる疾患の治療をしている方は注意が必要です。   一方で高血糖状態のときですが、低血糖の時と同様に異常な高血糖状態になると意識を失うことがあります。 通常、血糖値が高くなった場合にはインスリンというホルモンの働きで血糖値が下がるため、意識を失うほどの高血糖にはなりませんが、何らかの原因でインスリンが正常に分泌されなくなったり、短時間に大量の糖分を摂取したりといったことで起こりえます。 またインスリンが十分に働かないことで血糖値の調整が満足に行えない状態のことを糖尿病と呼びます。 インスリンが働かない原因によって、1型糖尿病と2型糖尿病に分類され、偏った食事や不健康な生活などが原因でインスリンの効きが悪くなる生活習慣病としての糖尿病は2型糖尿病に分類されます。   糖尿病になると血糖値を下げるインスリンが上手く働かないため、慢性的に血糖値が高い状態が続いてしまいます。 そうすると血中のグルコースが次第に末梢の血管や神経にダメージを与え、神経障害や網膜症、腎機能低下といった糖尿病合併症が引き起こされます。   低血糖、高血糖、そして糖尿病のリスクについて簡単にご紹介しましたが、そこからもわかる通り血糖値は高すぎても低すぎてもよくないもので、適正な数値を保つことが大切です。 そして血糖値を保つにはやはり適度な運動とバランスのいい食事を摂ることが必要です。 加えて食事の時に何をどんな順番で食べるかも血糖値に大きな影響を与えます。   食品にはそれぞれ食べた際にどの程度糖質を吸収するかを示したGI値というものがあります。 GI値が高い食品を食べると速やかに糖質が吸収され、血糖値が一気に上昇します。逆にGI値の低い食品を食べると糖質は緩やかに吸収されるため血糖値の上昇も穏やかになります。 GI値が高い食品を食べて血糖値が急上昇すると、それを下げようとしてインスリンが大量に分泌されますが、この血糖値を下げるという作用は言い換えると、グルコースを体の各細胞に運ぶということになります。(運んだ各細胞でグルコースがエネルギーとして消費されることで、結果的に血糖値が下がります。) そして血糖値が急上昇した状態とはいわば血液中にエネルギー源が大量にある状態で、さらにそれを運ぶインスリンが大量に分泌されるので、体は「いま栄養がたくさんある!もしものために余分な分を貯蓄しよう!」と反応して、グルコースを脂肪として蓄えようとします。 この状態を繰り返すことで肥満になり、またインスリンの効きが悪くなることで糖尿病となってしまいますが、じつは食事の中でGI値の低い食品から食べるようにするとこれを防ぐことができます。   ダイエット記事などで野菜から食べよう、ということを見たことがある方もいるかもしれませんが、これは野菜が低GI食品だからです。 低GI食品から食べることで、血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンが大量に分泌されることもないため、体に脂肪をため込みにくくなる、という理屈です。   ではどんな食品が低GIのものなのか。 それについてはぜひコラム画像をご覧ください。 低GI食品についてだけでなく、血糖値上昇を抑える食べ方などもご紹介しています。   また血糖値の上昇を抑えることに着目したレシピをご紹介します。 アレンジ次第でいろいろな具材で作れるので是非お試しください。   さて、今回の記事はいかがだったでしょうか。 やや長めになってしまいましたが、糖尿病は予備軍まで含めると日本人成人の実に1/6が患者であると言われています。 糖尿病は生活習慣病と言われる通り、生活習慣によって予防することも可能な病気です。 今回の記事から血糖値、糖尿病について少しでも考えて頂ければ幸いです。   最後までお読みいただきありがとうございました。 次回は夏号の更新になりますがテーマは「骨の丈夫さ」です。 高齢者が転倒して骨折した、などよく耳にすると思います。 骨の丈夫さと生活の質は密接にかかわるものですので、どうすれば丈夫な骨を保って健康な生活をつづけられるのか、次回記事をお読みください。   それでは、次回更新をお楽しみに!